
米国におけるNMNサプリメントの販売・流通をめぐる規制は、2025年9月に大きな転換点を迎えました。長らく「医薬品扱い」とされてきたNMNが、米国食品医薬品局(FDA)によって正式にサプリメント成分として認められたためです。この規制転換は、NMNサプリメントのOEM受託製造や海外販売を検討している日本企業にとっても、見逃せない重要な変化といえます。本記事では、規制問題の発端から解決に至るまでの全経緯をタイムライン形式で整理し、OEM事業への概要的な影響を解説いたします。
米国FDA規制の変遷:タイムライン整理
2022年末から2025年末にかけたNMNの米国における規制内容について、主な経緯を時系列で整理しました。
- 2017年頃:NMNが米国市場でサプリメントとして販売開始(後のFDA認定の根拠となる)
- 2022年5月:SyncoZymes社がNMNとして初のNDI通知受理。業界内で市場拡大への期待が高まる
- 2022年末:FDAが突然、NMNをサプリメント定義から除外すると通告。理由はMetroBiotech社がNMNを新薬候補としてIND(治験)申請していたため。AmazonなどEC上でNMN製品が相次いで撤去され、業界が混乱
- 2023年3月:業界団体NPA(Natural Products Association)とANHがFDAに市民請願(Citizen Petition)を提出。NMN除外決定の撤回を要求
- 2023年9月:FDAが「庁内優先事項のため判断できない」と回答。業界の不満が高まる
- 2024年8月:NPAがFDAを連邦裁判所に正式提訴
- 2024年11月:連邦裁判所が訴訟手続きの一時停止(stay)を認める。FDA執行裁量期間が開始され、事実上の販売黙認状態に。多くのブランドが販売を再開
- 2025年9月29日:FDAが歴史的な方針転換を発表。「NMNはサプリメントの定義から除外されない」と正式に認定。根拠は「2017年時点でサプリとして市販されており、IND申請より先行していた」との解釈変更
- 2025年12月:FDAがSyncoZymes社・Inner Mongolia Kingdomway社などの主要NMN原料メーカーに書面で正式通知。約3年間の規制上の不確実性に終止符
なぜ「除外」→「認定」に転換したのか:概要
FDAが2022年末にNMNを「医薬品扱い」とした根拠は、米国サプリメント法(DSHEA)に含まれる「先行調査除外規定(drug preclusion clause)」です。この規定は、ある成分が新薬として治験申請・承認される「前に」サプリメントとして市販されていた実績がなければ、その後はサプリメントとして販売できないという内容です。
しかし2025年のFDA最終判断では、「2017年時点でNMNはすでにサプリとして販売されていた」という事実を認定。MetroBiotech社のIND申請(2022年)よりも先行しているため、drug preclusion clauseは適用されないと結論づけました。この法的判断の詳細(DSHEAの条文解釈、race-to-market条項、FDAのロジック)については、少し長くなってしまいますので、後日、改めて解説をいたします。
OEM事業への影響:日本企業が知るべき3つのポイント
この規制転換は、日本でNMNを製造・供給するOEMメーカーや、米国向け販売を検討する企業にとって直接的なビジネス機会をもたらすことが予想されます。
ポイント1:米国市場への輸出障壁が実質的に低下
従来は規制上のグレーゾーンがリスク要因となっていましたが、FDAの公式見解が確立されたことで、米国向けNMNサプリメントの製造・供給をより確信を持って計画できるようになりました。世界最大のサプリメント消費国である米国市場への参入を検討する日本企業にとって、規制リスクが大幅に低減した意義は大きいと言えるでしょう。
ポイント2:NDI通知(NDIN)は引き続き必要
FDAの認定はNMNのサプリメント市場参入を認めるものですが、新規ダイエタリー成分(NDI)としての事前通知(NDIN)義務は引き続き存在します。米国でNMN製品を販売する場合、NDINの提出または通知済み原料の使用が求められます。
ポイント3:品質透明性が競争優位に直結する
今回の規制問題を経て、米国のNMNサプリメント市場では品質・純度の透明性が一段と重視されるようになりました。純度99%以上・第三者機関による検査証明書の提示は、米国バイヤーから求められる標準的な要件になりつつあります。日本製GMPラインで製造・検査されたNMNは、この点で大きな強みを持つと言えるでしょう。
まとめ:米国NMN規制、日本OEMにとっての追い風
2025年9月のFDA方針転換により、約3年間続いた規制の不確実性はついに解消されました。米国市場への輸出障壁は実質的に低下し、日本製NMNの品質優位性を活かせる環境が整いつつあります。NDINへの対応と品質透明性の確保を前提に、今こそ米国展開を本格検討する好機といえるでしょう。
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出典:FDA letter (2025-09-29), NutraIngredients-USA, Venable LLP, NPA公式発表, DSHEA Section 201(ff)(3)(B)




