発酵法によるNMN原料の製造工程と、NMNの研究動向

NMN(ニコチンアミド・モヌクレオチド)はエイジングケアの分野で注目されていますが、その製造方法と最新の健康効果の研究はどれほど進んでいるのでしょうか。この記事では、発酵法によるNMN原料の製造方法と、糖尿病・中年太り・アルツハイマー病へのNMNの可能性について、最新の研究動向を元に解説します。

1. NMNの発酵法による製造方法について

このセクションでは、弊社でも採用している発酵法による製法の基本原理と、製法のプロセスに焦点を当てて解説します。

発酵法によるNMNの製法

発酵法は、特定の微生物、主に酵母やバクテリアを利用して生物学的プロセスを通じてNMNを培養させて生成する方法です。この方法は、微生物の代謝活動を利用してNMNの生成を行うため、化学合成法と比べて環境に優しい製法となります。発酵法は、製造過程で化学的残留物のリスクがないため、高い純度と安定した品質のNMNを精製することが可能です。

発酵法の製造プロセスは製造メーカーによって異なるため、以下は一般的なNMNの原料製造プロセスになります。まず最初のステップでは、糖の一種であるリボースとニコチン酸アミドを混合させます。この混合物は、酵母や特定の酵素を使って発酵釜で発酵させることで、NMNが精製されます。その後、不純物を分離してNMNの純度を高めるために、遠心分離機などを使用したフィルタリングを行います。フィルタリングは通常複数回行われ、徹底して不純物の除去とNMNの純度を高める工程が行われます。

純度が一定の基準を満たした後、結晶化や乾燥工程が行われます。この工程では、NMNの水分量を減らし、製品の安定性を向上させます。その後微生物検査などの安全性テストが実施され、厳しい基準をクリアしたNMNのみを使用して、NMNの粒度を整えるために造粒工程が行われます。これによりNMNはサプリメントの製造に適した原料となり、サプリメント製造工場に納入されます。

2. 化学合成法と発酵法の比較

化学合成法は大量生産に適した製法であるため、発酵法に比べて製造コストが低く抑えられる傾向があります。ただし化学合成法には、精製時に使用する有機溶媒の残留が懸念されるという側面があります。弊社では世界のNMN原料メーカー複数社と、NMNのトレンドについて不定期に情報交換を行っておりますが、8割程度の製造メーカーからは、化学合成法は安全面から見ると慎重に検討する必要があるとの意見があります。

市場に出回っている安価なNMNサプリメントの中には、製法が明記されていない商品があります。原料単価を考慮すると、製法が明記されていないNMNサプリメントには、化学合成法によるNMNが使用されている可能性が考えられます。消費者にとっては、製法の透明性が求められるため、製法が明記されている製品の選択が重要となります。

3. NMNの最新の研究動向

NMNは、近年エイジングケアの分野で注目されている成分となっています。しかし、その効果はエイジングケアに限定されるものではありません。最新の研究によると、NMNは糖尿病、中年太り、そしてアルツハイマー病への効果が期待されており、これらの問題を抱える人々にとって新たな希望を提供しています。この章では、これらの病気に対するNMNの可能性について、最新の研究動向を元に解説します。

糖尿病に対するNMNの効果

最近の研究によれば、NMN(ニコチンアミドモヌクレオチド)は、糖尿病のリスクを持つ女性において筋肉のインスリン感受性を向上させる可能性が示されています*1。具体的には、NMNの投与は、インスリンの効果を高め、糖の代謝を改善することが示唆されています。これは、糖尿病の予防および管理において有益である可能性があります。さらに、NMNは、インスリン抵抗性の減少と、血糖値のコントロールの向上を支援することができると考えられています。

中年太りに対するNMNの効果

最近の研究により、生後5カ月から1年間にわたってマウスにNMNを与えたところ、ヒトの60代に相当する17カ月齢になっても、体の代謝が保たれて中年太りせず、若いときと同じように活発に動き、骨格筋、肝臓、脂肪において加齢に伴って起こる遺伝子の変化が抑えられるなど、抗老化効果が見られたとされています。特に、NMNを摂取したマウスは、摂取しなかった対照群に比べて、血糖値を下げるインスリン感受性が高く、老化に伴って低下する目の網膜の機能、骨密度、免疫細胞が保たれるなどの抗老化効果も確認されました。これらの結果から、NMNは中年太りを防ぐだけでなく、体全体の老化プロセスを遅らせる可能性が示唆されています。*2

アルツハイマーに対するNMNの効果

アルツハイマー病は、神経変性疾患であり、現在は治療法が限られています。しかし、一部の研究では、NMNが神経細胞の保護と再生を支援し、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性が示唆されています*3。具体的には、NMNは、アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、神経細胞の損傷を減少させる効果を示しています。さらに、NMNは、神経炎症の減少と、認知機能の改善に寄与する可能性があります。

4. まとめ

NMN(ニコチンアミドモヌクレオチド)は、エイジングケアの分野で注目される成分として知られていますが、その可能性はこれだけにとどまりません。最新の研究によれば、糖尿病、中年太り、そしてアルツハイマー病への効果も期待されています。この記事では、NMNの製造方法とそれに関連する最新の研究動向について、解説いたしました。

NMNの製造方法(発酵法)について
NMNを製造する方法はいくつかありますが、ここでは特に発酵法に焦点を当てて解説します。発酵法は、特定の微生物、主に酵母やバクテリアを利用し、生物学的プロセスを通じてNMNを生成する方法です。この方法は、化学合成法と比べて環境に優しい製法であり、製造過程での化学的残留物のリスクのない製法です。また、高い純度と安定した品質のNMNを提供することが可能であり、消費者の安全と高品質なNMN提供を最優先に考える当社では、この発酵法を採用してNMNサプリメントのOEM製造を行っています。

化学合成法と発酵法の比較
NMN製造においては、化学合成法と発酵法の2つの主な方法があります。化学合成法は大量生産に適しており、製造コストを低く抑えることができます。しかし、有機溶媒の残留が懸念される点もあります。一方、発酵法は、製法の透明性が求められる消費者にとって重要であり、安全面でも優れた選択肢となります。

NMNの最新の研究動向
エイジングケアの分野で人気のNMNですが、最新の研究によると、糖尿病、中年太り、アルツハイマー病への効果も期待されています。糖尿病に対するNMNの効果については、筋肉のインスリン感受性を向上させる可能性が示されています*1。また、中年太りに対しては、NMN摂取により体の代謝が保たれ、抗老化効果が見られることが示されています*2。さらに、アルツハイマー病に対しては、NMNが神経細胞の保護と再生を支援し、病気の進行を遅らせる可能性が示唆されています*3。

NMNの探求は続いており、これらの病気を抱える人々にとって新たな希望を提供する可能性を秘めています。そして、NMNの製造方法やそれに関連する最新の研究動向を理解することは、この成分の可能性をさらに広げる鍵となるでしょう。

ソース:
*1 Science. 2021;372(6547):1224-1229 Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abe9985

*2 今井眞一郎ワシントン大教授が語る「NMN、抗老化効果の真実」
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00043/090800005/

*3 Yao Z, Yang W, Gao Z, Jia P. Nicotinamide mononucleotide inhibits JNK activation to reverse Alzheimer disease. Neurosci Lett. 2017;647:133-140. doi:10.1016/j.neulet.2017.03.027.

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